4月27日(日)放送のNHKスペシャル「ミラクルボディー 第3回 ハイジャンプ 翼なき“天才”」を見ました。
去年の大阪世界陸上で、ハイジャンプ(走り高跳び)を始めてわずか1年半で優勝したドナルド・トーマス選手と、身長181cmとハイジャンプ選手としては小柄ながら現在圧倒的な強さを誇るステファン・ホルム選手のそれぞれの強さの秘密に迫るドキュメンタリー。
これがおもしろかった!
走り高跳びの原理は「起こし回転」と呼ばれるもので、棒を斜めに地面に投げつけると、水平方向のエネルギーが上昇方向の力に変換されて棒が回転しながら跳ね上がる現象にあるそうです。
ホルム選手は、この原理に忠実に、踏切前の速度を極力上げ、左足で踏み切るときに身体を一本の棒のように真っ直ぐにします。そして、そのために左足には650kgという大きな衝撃が加わります。それに耐えることができるように、ホルム選手はものすごいトレーニングをしていて、アキレス腱が通常の人の4倍の堅さになっているそうです!
ちなみにホルム選手の垂直跳びは60cmと、通常程度。っていうか、僕だって70cm以上はいけるので、結構低くてびっくり!走り高跳びって、いわゆるジャンプ力を競うものではないようです。
一方、大阪世界陸上で、ヘンテコなフォームですごい高さのバーを飛び越え、実況アナウンサーも解説の人も、テレビを見ている人も、記録係かなにかのお兄ちゃん(今回も映像で出ていました。しかもアップ!(笑))
も、みんなをびっくりさせたトーマス選手。彼の跳躍は、上記の走り高跳びの原理を無視したものでした。
トーマス選手の跳躍は、助走スピードも遅く、踏切位置もバーに近いため、起こし回転の原理では高い跳躍はできず、またバーにぶつかってしまいます。トーマス選手は、助走によって得た水平方向のエネルギーを垂直上昇方向の力に変えるのではなく、もっぱら脚の伸展動作による力に頼って跳んでいたのでした。いわば、僕たちが普通にジャンプ力って思っている力を素直に使った跳躍というわけです。
で、そのトーマス選手の垂直跳びは、なんと93cm! NBA選手の平均67cm(意外に低い)を大きく上回ります。これだから、助走のスピードが遅くてもあれだけの跳躍ができるのでした。で、そのジャンプ力のもとは、普通の人よりずっと長い(26cm)アキレス腱にあるのだそうです。これが、トーマス選手があまり練習もせず、世界大会を制することができた理由でした。彼は生まれついてのハイジャンパーだったんですね。
で、番組はこれだけで終わりませんでした。
トーマス選手が、世界新記録を目指すためにフォームの改造を始めたのです。即ち、ホルム選手のように、助走で得た水平方向のエネルギーを上昇力に変えるべく、踏切位置を遠くし、左足を屈伸させず、棒のように伸ばして踏み切る跳び方を身につけようとしました。彼の身体能力に、きちんとしたフォームが身に付けば、世界新は可能だって誰だって思いますよね。
でも、それが、そう簡単ではなかったのです。トーマス選手の左足は、ホルム選手のように鍛え上げられたものではなかったため、踏切の衝撃に耐えられず、筋肉が炎症を起こしてしまったのでした! 怪我は思ったより長引いており、トーマス選手による世界新記録樹立には、まだ時間がかかりそうです。
いやー、さすが世界記録というのは奥が深いなあって思いました。やはり、恵まれた身体能力だけではだめで、ものすごい努力を要求するもののようです。
番組を見て、ホルム選手のファンになってしまいました。また、トーマス選手の今後にも大いに期待が高まりました。今年の夏、北京オリンピックで2人が対決するのが楽しみです!
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