書籍・雑誌

2008年5月31日 (土)

『Twisted』 (Jeffery Deaver著)

 
四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムのシリーズで有名なJeffery Deaver作の短編集、『Twisted』を読みました。16編の短編が収録されていますが、どれも傑作揃い。タイトルの“Twisted”(ひねりが効いた)の通り、どの話もどんでん返しがあって、やられたって気にさせてくれます。

邦訳は、収録されている短編の中の一つのタイトルをとって、『クリスマス・プレゼント』というタイトルで出されていますが、一話一話が短く読みやすいので、ペーパーバックで読むと英語の勉強にもなって一石二鳥のような気もします。

ほんと、どの話もおもしろかったのですが、特にお奨めは、『For Services Rendered』と、『Beautiful』と、『Triangle』と、『Lesser-Included Offense』です。最後のオチを知ってしまうとおもしろさが半減するので詳しい説明ができないのが残念ですが、以下に、簡単にコメントを。

『For Services Rendered』は精神科医が主人公の話ですが、その中に出てくる幽霊という概念についての話、精神を病んだ人の挙動についての話、ユーモアについての精神医学的見方などが興味深く、そして最後に出てくる皮肉の効いた台詞が最高です。主人公の精神科医も笑いを禁じ得なかったようですが、僕も爆笑してしまいました。

『Beautiful』は、ストーカーにつきまとわれる美女の話ですが、最後のオチに驚きました。主人公が美女だけに、ぜひ映画などにして欲しい話です。

『Triangle』は三角関係の話ですが、これも、最後のオチにびっくり! でも、これは映画化は無理だろうなあ。読んでいて、途中、ちょっと違和感のある描写があったのですが、最後まで読むと、なるほど、そういうことだったのかって納得できて、作者のプロットの巧妙さに感心させられます。

『Lesser-Included Offense』は、法廷が主たる舞台の作品。邦訳のタイトルは『 被包含犯罪』となっていますが、それ見ても意味がわからないですね。この短編集に収められた話はどれもどんでん返しがあることはわかっているので、この話も結末はおおざっぱには予想できるのですが、その具体的な手法が見事! 僕は読み終わって、なるほどなー、そういう手があったか、と大いに感心してしまいました。主人公の検事の人柄などの描写もよかったです。

他にも、シェークスピアが登場し、thouとかtheeとかthyとかhathなど昔の言い回しが頻繁に使われる『All The World's A Stage』 、リンカーン・ライムが登場する『Christmas Present』なども、おもしろいです。

続編として、『More Twisted』っていうのもあり、既に購入済み。んー、楽しみ。


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著者:Jeffery Deaver
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2008年5月28日 (水)

『iPS細胞ができた!』(集英社)

『iPS細胞ができた!』を読みました。

内容は、iPS細胞の生みの親、山中伸弥教授と、ウィルス学の権威、畑中正一京都大学名誉教授との対談。あまり専門的な難しい話はなくて、iPS細胞発見(発明?)の意義と今後の可能性や課題といった点に重点がおかれていて、素人でもおもしろく読めました。

iPS細胞というのは、体細胞である皮膚の細胞から得られた、いろんな細胞に分化する能力を持った細胞のことで、「induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)」の略だそうです。omnipotent(全能)っていう単語は見たことがあったけど、pluripotentって単語は初 めて見ました。iPS細胞は受精卵と違って個体にはならないらしいので、万能ではなく多能なんだそうです。

同じように色んな細胞に分化することのできる細胞でも、ES細胞は、個体になることのできる受精卵を壊して得られるので、その利用には倫理的な問題がつきまとうんだそうです。でも、iPS細胞は受精卵によらず体細胞から得られるので、倫理上の問題を生ずることなく、再生医療などに使える可能性があるんだとか。

いやー、素晴らしい! もう何十年かして僕たちが老人になる頃には、自分の体細胞からどんどんiPS細胞を作製して、心臓やら肝臓やら眼やら色んな器官に分化させて、弱った器官と取っ替えて、200才とか300才まで生きることができるかもしれないですね。神経細胞にも分化させることができるだろうから、脳の衰えも防ぐことができるだろうし、しわしわになった肌も若々しい肌に取り替えて、見かけも若返ることができるかも。この本の副題は『ひろがる人類の夢』ですが、ほんと、読んでると夢が広がってきます。

iPS細胞は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子のうち4つ(実は3つでいいそうです)を皮膚細胞に導入することで得られるそうで、そんな簡単にできるのかって、最初は山中教授も半信半疑だったそうです。大発見って、そういうコロンブスの卵的なところがあるんですねー。

iPS細胞作製のための遺伝子の導入にはレトロウィルスとかいうのを使うそうなのですが、ウィルスの遺伝子もiPS細胞に入ってしまうため、好ましくないそうです。で、4つの遺伝子から作られるタンパク質を加えることで、ウィルスを使った遺伝子導入をすることなくiPS細胞ができないかっていう試みもなされているそうです。そういえば、最近新聞で、4つの遺伝子のうちいくつかが化学物質で代用できたっていう記事を読んだ気がします。

対談を読んで一つ心配になったのは、アメリカがiPS細胞やES細胞、再生医療などにかける研究費の額は、日本の研究費とは比べものにならないらしいと いうことです。研究施設の差も歴然としているとか。対談の中で、山中教授が研究環境の日米における差について嘆かれるたびに、いったい日本の政府は何をし てるんだ!って歯がゆくなります。税金使うんだったら、道路よりも、こういう世界最先端の研究にお金を使って欲しいなあと思います。

山中教授は大阪生まれで神戸大学医学部卒業と、関西で過ごされている期間が長いせいか、対談のところどころで関西弁が現れるのも、親しみが感じられてよかったです。また、山中教授が、対談の中で何度となく、自分の周りの研究者や学生たちの仕事を評価し、感謝の意を表しているところも、とても好感がもてました。こういう人柄だから、大勢の人の協力を得てすごい成果を挙げることができたんだろうなって思いました。きっと山中教授は、この間読んだ『不機嫌な職場』に出てくるような沈滞した職場環境とは真逆の、意見交換が活発になされる、活気のある研究環境を構築されているんだろうなって思いました。

これからも山中教授グループから多くの画期的な研究成果が発表される気がします。んー、楽しみ!

 
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2008年5月12日 (月)

『不機嫌な職場』(講談社現代新書)

少し前のR25に紹介されていた『不機嫌な職場』(講談社現代新書)という本を読みました。

それによると、最近、会話が少なく、互いに関心を持たずに黙々と仕事をこなしていく、周りの人が何をしているかわからない、職場で困っている人がいても協力者が現れない、頑張っても誰も評価してくれない、というような「ギスギスした職場」が増えているそうです。

僕の職場も例外ではなく、ちょっとそういった雰囲気があります。お昼も一人で自分の机で食べる人が多く、社員間の交流は薄く、仕事の上での情報交換も少ないです。僕の仕事自体が一人で閉じてできるせいもあるのですが、頑張って結構大変な仕事をこなしても誰も評価してくれなくて自己満足だけというのが通常です。

僕は、一人で閉じてできる仕事は楽と言えば楽だけど、もっと情報交換して、お互いが仕事でうまくいったことや苦労したことなどを共有できたら、仕事がもっとおもしろくなって張り合いが出てくるのに、と常々思っていました。

この本は、そんな風に思っている人にぜひ読んで欲しい本です。

この本では、ギスギスした職場が増えてきた現状を認識し(第1章)、その原因を分析し(第2章)、協力の心理を理解するための論理的な視点を与え(第3章)、協力がうまくいっている職場(グーグルやサイバーエージェントなど)を紹介し(第4章)、これらの議論を踏まえて、最後に協力し合える組織をつくるための工夫について述べています(第5章)。

各章ともおもしろかったのですが、僕が、この本を読んで一番よかったのは、この本が全体を通して、ギスギスした職場は、そこで働く個人にとって幸せなものではなく、また会社にとっても大きなリスクであり、容認すべきものではないと繰り返し繰り返し述べていることです。僕は、それだけで、ずいぶん励まされた気になりました。

うちの職場もそうですが、今の社会の風潮のせいか、互いに極力関心を持たず、自分の仕事だけしてればいいじゃないかっていう人が結構増えているのではと思います。でも、この本が指摘しているように、職場全体がそういう人たちの考えに支配されるのは、やはり職場にとって良いことではないのです。

互いに会話のない活気のない職場では、そこで働く人のモチベーションが落ち、一人一人の効率や創造性が低下します。また、情報交換があれば気づくはずのミスに気づかず、品質低下につながります。更に、協力が得られないことにより生産効率が低下します。自分の殻に閉じている人たちは、こういったリスクを職場に与えていることを自覚するべきなのです。

いったん職場の雰囲気が冷え、そこで働く人の多くがそれでいいやって思うようになると、それを変えて職場に活気を取り戻すのは相当大変です(人の性格を変えるのは難しいですよね)。でも、多くの人がこの本を読んで、互いに関心を持って働くことの重要性や楽しさを自覚したら、ひょっとしたら職場の雰囲気も変わっていくかもしれません。

この本は、これからも、会社生活を続けている限り、何度も読み返すような気がします。みなさんもぜひご一読を!


不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926) 不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926)

著者:河合 太介,高橋 克徳,永田 稔
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2008年4月28日 (月)

4月24日発行のR25

僕は、毎週木曜日発行のR25を楽しみにしていて、毎週欠かさずコンビニで貰っています。

この間4月24日発行のR25は、記事もおもしろかったけど、2008年上半期M1F1グランプリ大募集の広告が傑作でした! M1は20~34才の男性、F1は20~34才の女性のことで、M1F1グランプリというのは、この20~34才の男女の間で最も注目され話題になったものを選ぼうという企画です。

で、この広告では、『ジブンの好きが、歴史になる。』のコピーの下、この2008年上半期M1F1グランプリを、歴史的大事件になぞらえるべく、いくつか歴史上の大事件を列挙しているのですが、その表現が傑作なのです。

794年  首都リニューアルオープン
1008年 『源氏物語』大ベストセラー
1192年 頼朝、日本チャンピオンをゲット
1560年 信長、メジャーデビュー@桶狭間
1600年 天下分け目で東西大激突
1687年 ペットブーム、わんちゃん大騒ぎ
1702年 AKOU47、大ブレイク
1853年 ペリー初来日、浦賀で大フィーバー
1991年 バブル爆発、ギャル仰天
2007年 PASMO、小島よしお大人気

といった具合です。僕としては、特に、AKB48をもじった「AKOU47」がツボでした。

このノリでいったら、松尾芭蕉の奥の細道も、「1689年 芭蕉、付き人の曾良を従えて東北ツアーをスタート」ってことになるのでしょうか? 他にもできそうですね。

ちなみにM1F1グランプリ投票サイトはこちら。該当する方は、投票してみたら?

  

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2008年4月26日 (土)

4月25日深夜放送のタモリ倶楽部

4月25日深夜放送のタモリ倶楽部は、ホリプロマネージャー南田裕介が『ホリプロ鉄道オタクマネージャーの鉄ちゃん』という本を出したものの、売れ行きが芳しくないということで、何とかしようという企画。

ゲストは、南田本人に加えて、南田がマネージャーをしているホリプロの鉄道アイドル(鉄ドル)豊岡真澄と、最近フジテレビを退社した政井マヤと、エロ企画でないのに何故か鴻上尚史。豊岡真澄はお腹に赤ちゃんがいて、結構大きいお腹をしています。

南田の本の売り上げ向上のため、本屋で良く見かける手書きポップの達人を呼んで、南田の本にも手書きPOPを作ってもらうこととなりました。

手書きPOPの達人として呼ばれた“伝説のポップ職人五人衆”は以下の通り。

三省堂・成城店 内田剛さん
リブロ・汐留パートII店 遠藤慎子さん
未来屋書店・イオン成田店 藤崎理恵さん
有隣堂・横浜駅西口店 梅原潤一さん
青山ブックセンター・六本木店 間室道子さん

内田さんは、『POP王の本』という本まで出版しており、そのPOPも自分で書いているとのこと。藤崎さんのPOPは、適切な“立ち読みポイント”にこだわりがあり、なんと、あの『世界の中心で愛を叫ぶ』のブームの火付け役にもなったそうです。

南田の本の内容は、鉄道好きにはたまらないものがあるようで、鉄道好きのタモリは食いつきますが、ポップ職人五人衆にはあまり響かないらしく、POPを作るのに相当苦労した模様。でも、できあがったPOPは、さすがの職人技で、どのPOPも読むと、お、ちょっと手にとってみようかなあと思わせるものばかりでした。

その中で、南田が選んだのは、藤崎さん作成のPOP。“立ち読みポイント”として、豊岡真澄をアイドルから鉄ドルとして育成していったときの話(P.152~)を取り上げたのも好ポイントですが、特に、“鉄ちゃん、脳内暴露本”というコピーが、南田のお気に召したようです。

その鉄ドル、豊岡真澄は、これからしばらく子育てに専念するということで、3月いっぱいでアイドルを芸能活動から引退するそうです。でも、「せっかく鉄道が大好きになったし、主婦鉄として、鉄道から離れる気はないので、またこれから、どこか車両基地とかで会うことがあるかもしれないです」って明るく言ってました。彼女の屈託のない笑顔を見ていると、彼女は幸せな一生を送っていきそうだなあって思います。お幸せに!

僕は、タモリ倶楽部の鉄道企画は結構好きで、南田が初登場したときのタモリ倶楽部もDVDに保存していますが、南田の本を買うかどうかは微妙。おもしろそうなところもありましたが、南田の妄想鉄道“MR(Minamida Railway)”の話を楽しめるかどうか自信ないです。でも、今回の放送で、少なくとも本屋で手に取ってはみるでしょう。

あと、今回の空耳でツボにはまったのがありました。曲はアバのママ・ミヤ。54秒あたりで、「ハゲ ナルシスト」って聞こえるのです。映像に出てくるバラの花を加えたハゲナルシストの姿が最高!元歌詞は「How can I resist you?」なので、確かに似てる気がしますが、「ハゲナルシスト」って言葉を思いつく投稿者のセンスはすごいなって毎度のことながら思います。ああ、これからアバのママ・ミヤを聞くたびにハゲナルシストの姿が浮かんでくるんだな~。

 
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